2025年11月26日午後2時51分（現地時間）、香港北部・大埔（タイポ）区の高層マンション群で発生した大規模火災は、44人が死亡、279人が行方不明という香港史上最悪クラスの大惨事となりました。
火災の原因は、建物の外壁に設置されていた竹製の足場と可燃性の防護ネットが燃え広がったことでした。約1時間で8棟中7棟に延焼し、消防は最高レベルの「5級火災」に指定しました。
この記事では、火災の詳細な原因、被害状況、なぜ香港で竹製足場が使われているのか、そして今後の対策まで徹底的に解説します。
【速報】香港火災の最新情報（2025年11月27日時点）
被害状況
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発生日時 | 2025年11月26日 午後2時51分（現地時間） |
| 発生場所 | 香港北部・新界地区 大埔（タイポ）「宏福苑（ワンフクコート）」 |
| 死者数 | 44人（消防士1人を含む） |
| 負傷者数 | 62人（うち16人が極めて危険な状態、25人が重体） |
| 行方不明者 | 279人と連絡取れず |
| 延焼棟数 | 8棟中7棟 |
| 火災レベル | 最高の5級（2008年以来17年ぶり） |
| 逮捕者 | 工事関係者3人（52〜68歳）を過失致死の疑いで逮捕 |
日本人の被害
在香港日本総領事館によると、日本人が被害に遭ったとの情報は入っていません。
香港火災の原因：竹製足場と可燃性ネットの炎上
直接的な原因
火災の直接的な原因は、以下の4つの要因が重なったことです：
①竹製の足場 建物を覆っていた竹製の足場が燃えやすかった。
②可燃性の防護ネット・防水シート 外壁に張られた防護ネットや防水シート、プラスチックシートが防火基準を満たしていなかった。
③乾燥した気候 香港は11月に入り乾燥した気候が続いていた。
④強風 当日は強風が吹いており、火が急速に広がる条件が揃っていた。
香港保安局長の証言
鄧炳強保安局長は、以下のように述べています：
「建物外部の防護ネットや難燃性布、ビニールシートが、通常規格品よりもはるかに激しく燃え広がった」
「異常な状況だった」
つまり、本来なら防火基準を満たすべき防護ネットが、基準を満たしていなかったために急速に燃え広がったのです。
延焼のメカニズム
午後2時51分：出火（最初の1棟）
午後3時50分頃：約1時間で7棟に延焼
午後6時22分：火災レベルを最高の「5級」に引き上げ
翌朝まで：消火活動が続く
現場では何度も爆発音が聞こえたという証言があります。これは、足場を固定していた部材や、建物内のガスボンベなどが破裂した音と考えられています。
なぜ香港では火災の原因になる竹製の足場を使うの？
世界でも珍しい竹製足場の文化
香港は、世界でも珍しく建設現場で竹製の足場を広く使っている地域です。
「高層ビルの足場＝金属製」というのが世界の常識ですが、香港では足場の約80%が竹で作られています（2025年1月時点）。
竹製足場のメリット
①軽量で運搬が容易 金属製に比べて軽く、狭い香港の街中でも運びやすい。
②低コスト 金属製より安価で、工事費用を抑えられる。
③柔軟性がある 竹は曲げやすく、複雑な形状の建物にも対応しやすい。
④伝統的な技術 香港では100年以上の歴史があり、熟練した職人が多い。
竹製足場のデメリット
①火災リスクが高い 今回のように、火がつくと急速に燃え広がる。
②耐久性が低い 雨風にさらされると劣化しやすい。
③安全性への懸念 倒壊のリスクもある。
香港政府の対応：竹製足場の規制強化
2025年3月、規制強化を発表したばかり
実は、香港政府は2025年3月に、竹製足場の利用を段階的に廃止する措置を打ち出していました。
規制内容：
- 公共工事の50%に金属製足場の使用を義務付け
- 段階的に竹製足場を廃止する方針
しかし、この規制が発表されてからわずか8ヶ月後に、今回の大惨事が発生してしまいました。
工事関係者3人を逮捕
香港警察は、過失致死の疑いで工事関係者3人（52〜68歳）を逮捕しました。
容疑：
- 外壁に張られた防護ネットなどが防災上の基準を満たしていなかった
- 工事の安全管理に問題があった
香港で火災が発生した「宏福苑（ワンフクコート）」とは
築41年の政府助成住宅
火災が発生した「宏福苑（ワンフクコート）」は、1983年に建てられた築41年の高層マンション群です。
建物の概要：
- 棟数：31階建ての建物が8棟
- 住戸数：約2,000戸
- 住民数：推定約5,000人（4,600人以上との報道も）
- 特徴：政府助成住宅（公営住宅）
- 住民層：高齢者が多い
長期にわたる改修工事中だった
火災が発生した建物では、約1年前から大規模な改修工事が行われていました。
建物全体が竹製の足場で覆われており、この足場が火災の延焼を加速させました。
香港の団地と火災リスク
人口密度が非常に高い
香港の団地は人口密度が非常に高く、小さなアパートに数世代が同居しているケースが多いです。
今回の火災現場も、約2,000戸に約5,000人が暮らしており、避難が困難な状況でした。
過去の大規模火災
香港では、1996年に九龍地区で41人が死亡する火災が発生しています。
今回の火災は、1996年以来、香港史上最悪の火災となりました。
香港火災に対する中国政府の対応
習近平国家主席が支援を指示
中国国営中央テレビによると、習近平国家主席は26日、香港政府による火災鎮圧や救助、負傷者治療を支援するよう指示しました。
指示内容：
- 中央駐香港連絡弁公室（中国政府の香港出先機関）に支援を要請
- 他の地方政府に香港の対応を支援するよう要請
香港行政長官の対応
李家超（ジョン・リー）行政長官は声明を発表し、以下のように述べました：
「政府各部門に対し、火災の鎮火と閉じ込められた人々の救出に全力を尽くすよう指示した」
「犠牲者と負傷者の家族に対し、哀悼の意を表する」
また、被害者ホットラインを設置し、一時避難所を開設しました。
香港火災について今後の課題と対策
①竹製足場の全面廃止？
今回の火災を受けて、竹製足場の規制がさらに強化される可能性が高まっています。
2025年3月に発表された「公共工事の50%に金属製足場を義務付け」という規制では不十分だったことが明らかになりました。
②防火基準の厳格化
防護ネットや防水シート、プラスチックシートなどが防火基準を満たしていなかったことが今回の延焼の原因でした。
今後は、工事現場で使用される資材の防火基準が厳格化されるでしょう。
③古い建物の安全対策
築40年以上の古い建物が多い香港では、改修工事中の火災リスクが常に存在します。
老朽化した建物の安全対策が急務です。
④避難経路の確保
高層マンションでの火災では、避難経路の確保が最重要課題です。
今回は多くの住民が建物内に閉じ込められており、避難の難しさが浮き彫りになりました。
香港火災の原因についてよくある質問（FAQ）
Q1：香港火災の原因は何ですか？
**A：竹製の足場と可燃性の防護ネットが燃え広がったことです。**建物を覆っていた竹製の足場と、防火基準を満たしていない防護ネットが、乾燥した気候と強風の影響で急速に燃え広がりました。
Q2：なぜ竹製の足場を使っていたのですか？
**A：香港では伝統的に竹製の足場が広く使われています。**軽量で運搬が容易、低コスト、柔軟性があるというメリットがあり、香港の足場の約80%が竹で作られています。ただし、火災リスクが高いというデメリットもあります。
Q3：死者は何人ですか？
**A：2025年11月27日時点で44人が死亡しています。**さらに279人と連絡が取れておらず、死者数が増える可能性があります。
Q4：日本人の被害はありますか？
A：在香港日本総領事館によると、日本人の被害は確認されていません。
Q5：火災はどこで発生しましたか？
**A：香港北部・新界地区の大埔（タイポ）にある「宏福苑（ワンフクコート）」です。**1983年に建てられた築41年の高層マンション群で、約2,000戸に約5,000人が暮らしていました。
Q6：なぜこんなに大きな火災になったのですか？
A：以下の4つの要因が重なったためです。
- 竹製の足場が燃えやすかった
- 防護ネットが防火基準を満たしていなかった
- 乾燥した気候
- 強風
Q7：香港政府は何か対策をしていましたか？
**A：2025年3月に竹製足場の規制強化を発表していました。**公共工事の50%に金属製足場の使用を義務付ける方針でしたが、今回の火災はその規制発表からわずか8ヶ月後に発生しました。
Q8：工事関係者は逮捕されましたか？
**A：はい、3人が過失致死の疑いで逮捕されました。**52〜68歳の男性3人で、建物の修繕を担当する会社の責任者です。防護ネットが防災上の基準を満たしていなかった疑いが持たれています。
Q9：火災はいつ鎮火しましたか？
**A：翌朝まで消火活動が続きました。**26日午後2時51分に発生し、27日朝まで消火活動が続けられました。
Q10：今後、竹製足場は使われなくなりますか？
**A：規制がさらに強化される可能性が高いです。**今回の火災を受けて、竹製足場の全面廃止や、防火基準の厳格化が検討されるでしょう。
まとめ：香港火災の原因と教訓
2025年11月26日に発生した香港の高層マンション火災は、竹製の足場と可燃性の防護ネットが燃え広がったことが原因でした。
火災の原因（4つの要因）
- 竹製の足場が燃えやすかった
- 防護ネットが防火基準を満たしていなかった
- 乾燥した気候
- 強風
被害状況
- 死者：44人（消防士1人を含む）
- 負傷者：62人（うち16人が極めて危険な状態）
- 行方不明者：279人
- 延焼：8棟中7棟
- 火災レベル：最高の5級（2008年以来17年ぶり）
今後の課題
- 竹製足場の全面廃止または規制強化
- 防火基準の厳格化
- 古い建物の安全対策
- 避難経路の確保
最後に
今回の火災は、伝統的な竹製足場の危険性を浮き彫りにしました。香港政府は2025年3月に規制強化を発表していましたが、それでも間に合いませんでした。
被害に遭われた方々のご冥福をお祈りするとともに、行方不明者の早期発見と、今後同様の火災が起きないよう、徹底的な安全対策が求められます。
最終更新日：2025年11月27日
この記事は、Bloomberg、日本経済新聞、時事通信、AFP、朝日新聞、CNN、ロイターなど、信頼できる報道機関の最新情報をもとに作成しています。状況は刻々と変化しているため、最新情報は各報道機関でご確認ください。